After an escape journey

旅行好きの医学生が徒然なるままに旅行記を公開します

ヨーロッパ周遊の旅(4) Day3 バルセロナ②

はじめに

 2019年3月に2週間ほどかけてヨーロッパを旅したときの日記を公開しています。どんなルートか,詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。 

ken51417d.hateblo.jp

 3日目は,バルセロナに暮らした建築の巨匠,アントニガウディの作品を巡る1日となりました。早朝に目覚め,グエル公園サグラダファミリアに足を運び,その他バルセロナの見どころを回りました。

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朝は青のルートで,昼から赤のルートでバルセロナ市内を巡る旅へ。

時差ボケで4時半に起床 グエル公園

 流石に早く就寝しすぎたのか,4時半には目が覚めてしまう。もう一眠りしようとするも虚しく,ダラダラと時が過ぎるのを待つ。6時半を回る頃に用意を開始して,朝のグエル公園を目指すこととする。

 650に宿の外に出る。まだ薄暗い時間。太陽の気配を全く感じることのない朝の瞬間。昨日の日中はあんなに賑わっていたバルセロナの街であるが,人の気配が全然ない。ヨーロッパの朝は遅い。

 Passeig de Gracia駅から地下に入る。一日乗車券を€8.6で購入して,L3で4つ先のVallcarca駅まで。地下鉄はスリが多いと思ってガラガラの電車でやたらと警戒してみるが,よくよく考えれば人が全然いないのだからすられようもない。駅に着いてとりあえず地上へ。ここに来てようやく太陽の気配を感じる。建物に反射する陽の光が1日の始まりを告げる。地図を見ながら,適当な階段を見つけて登ることにした。見た感じ45度はあるだろうという坂道を僕は登っていく。登ること数分,眼下に見える自分が辿ってきた道がいい感じ。いい感じにヨーロッパの坂道の景色が広がっていた。別の方向に降りていく坂道を眺めてみると,はるか向こうには朝の光に輝く地中海が広がる。坂道の向こうに海が広がる景色はどこで見てもいいところなんだよな。

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朝のバルセロナの向こうに,地中海が顔を覗かせる。他に函館の八幡坂くらいしか知らないけれど,坂の向こうに見える海は結構好き。

 登ってみたは良いが,どこにグエル公園の入り口があるのか全然分からない。またもや適当な階段を上るとどうやらグエル公園には入れた模様。少し歩くと,視界がひらけて遠くバルセロナ市街を一望できる。朝の光に照らされるバルセロナ市街の美しかったこと。こんな景色を見ながらランニングしているスペインの人になってみたさがある。サグラダファミリアも見えるし,地中海まで一望できる。景色は良いけれど,肝心のグエル公園の有料ゾーンには入れない。

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 曲がりくねった道を適当に進むと,どこが有料ゾーンと無料ゾーンの境目なのかもよくわからず待ちわびたトカゲの噴水が見えてきた。これがガウディさんの作った公園か。ガウディ感の強いところ。朝だからか人も全然いないし,何より入場料も取られないし得した気分。トカゲはいい顔をしているし,空はどこまでも青い。素敵な空間。市場になる予定だったという柱の並ぶ空間を抜けて,階段でその空間の上に登ってみる。バルセロナの街並みが広がるのを楽しみに洒落たベンチを横目に先に進むと,何度も写真で見たような光景が。グエル公園の入り口の建物越しに見えるバルセロナの街。これですよ,見たかったのは。スペインに来ましたと胸を張って言える景色。お菓子の家と,ガウディの曲線。そしてバルセロナ。目に焼き付けようと努力して,写真を幾度と取る。朝無料なのは良いけれど,逆光になってしまうのは残念。またいつか来られるといいな。

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トカゲはいい顔をしているし,これぞバルセロナという景色に出会えた朝のひととき。

 時差ボケなのか早く起きすぎたからなのか,それとも気を使っているからか,何だか分からないけれど疲労を感じる。展望台に行くことは諦めて駅へ戻ることとする。ヨーロッパの朝の街並みを歩くのはとっても愉快。車が道沿いに等間隔に並んでいるのとか,坂道を降りるのとか,勝手にヨーロッパらしさを感じる時間だった。バルセロナの中心部とは違って,日本の街にもどこか似ているマンションの並ぶ通りを抜けてLesseps駅へ。地下鉄に3駅揺られて宿へ戻る。朝ごはんを多めにいただいて,しばし昼寝のようなことをして今に至る。丁度昼の12時。サグラダファミリアを見に行こう。パエリアを食べに行こう,地中海を見に行こう。

シエスタの後にいざサグラダファミリア

 昼寝,それをスペイン風に言えばシエスタの効果は抜群で足取りは軽く,意気揚々と街に繰り出す。いつもとは違う方,つまり山の方にグラシア通りを進む。太陽と情熱の国というだけあって,日本にいる時以上に眩しい日差しが燦々と降り注いでいる。少し歩くとカサミラが右手に見えてくる。これもガウディの建築か,というくらい。中の方が見所だよ,みたいな表示があったけれど,興味がそこまであるわけでもないから€20も払う気にはなれなかった。というわけで外を一通り見たらDiagonal駅へ。ここから地下鉄のL5線に乗って一気にサグラダファミリアへ。

 改札を出て地上に出る。どこにサグラダファミリアがあるのだろうかと体を時計回りに一回転させるとすぐに巨大なサグラダファミリアが目に入る。体が芯から震えるのを感じた。建物を見て体が震えるなんて初めての経験。ずっと前から,本当にと言ったら嘘くさいけれど,いつか来てみたいと思ってきた場所だけに喜びは一入。

 まだ入場まで15分くらいあったので,とりあえず外観の写真を収めることにする。隣の公園の池越しにサグラダファミリアを眺めてみる。いやはや大きい。この時はまだ気づいていなかったのだが,公園から見えているのは生誕のファサードだけでメインの塔は完成していない。このファサードだけでも見応え十分。飛行機を目前にしたときのようなイメージと実物のサイズ感の相違を感じた。

 13時を迎えたのでとりあえず入場。チケットを軽くチェックされてから空港さながらの荷物検査。そしてQRコードをスキャンして入場。近くから見ると,あらゆるところに細かな装飾が施されているのがわかる。サグラダファミリアという文字もある。賞賛を集めるのはこういう小さな拘りによるものなのか。よく見ると木があったり,そこに鳩がとまっていたり。芸が細かい。

 まずはオーディオガイドをレンタル。オーディオガイドなんていらないから安くしろよ,というのが普段思うところであるが,サグラダファミリアに関しては期待以上のものを提供してくれた。僕には十分すぎる説明のおかげで存分に楽しめた。きっとネットを調べれば解説はいくらでも出てくるだろうから詳しいことは割愛しよう。

 そしていよいよ生誕のファサードの中へ。€1必要なロッカーだったけれども持っていなかったからなんとか貸してもらう。優しい。カメラ以外のものを預けてエレベーターで50mまで一気に上昇。そこから階段を10mほど登る。高所恐怖症を克服した気がしたものの,全く克服できていなかったよう。ひどく足元が震える。日本と違って周りの建物の高さが低いことも高所恐怖症を引き起こすトリガーになっていると思う。塔と塔の間の橋を渡るときの不安はもう味わいたくない。しかしながら,バルセロナの街並みはここからもよく見えた。地中海まではっきり見える。100年近く前にとんでもないものを作ったという一言に尽きる。写真をいくらか撮って階段を降りる。音を響かせるための穴がまた窓として光を取り入れる口として機能しているわけだが,そこから見える眼下の世界が怖いこと。相変わらず景色は綺麗。赤茶色を基調とした建物と真っ青な地中海が映える。そんな景色に見ほれつつ怖がりつつ階段を下っていると写真撮ってくれませんか,と日本語で話しかけられる。聞いてみれば大阪大学に留学していたタイ人とのこと。日本人だってバレるのか。タイ人,大阪大学と何かしら縁のある3月。談笑しながら無事に階段を下り終える。一安心。

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サグラダファミリアの塔に登ってみるバルセロナもまた美しい。

 生誕のファサードに行く際にすでに少し目にしていたのだが,サグラダファミリアは内装も外観と同じ,あるいはそれ以上の見どころ。やたらと天井が高く開放的で,柱は森を思わせる作りで,何よりステンドグラスから差し込む朝をイメージした光だったり,夕方をイメージした光だったりが柔らかな明かりをもたらす。昔九份に行ったときにこんなにいい観光地はないと思った記憶があるが,サグラダファミリアに関しても同じものを感じた。ガイドブックの解説が裏切らない観光地,ガイドブックの解説以上の観光地。ここで一生を終えることができたら幸せだろうな,なんてことを考えて,写真を撮って。2026年に完成したらまた来ることを誓って,ずっとサグラダファミリアに居たい気持ちにケリをつける。荘厳とか,そんな言葉では表せないくらいに気に入ったサグラダファミリアであった。

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 空腹に始まる気だるさに襲われたので,遅めの昼ご飯を探してしばし散歩。1人用のパエリアが食べられるというCastell de Xativaに向かう。扉を開けてみると,少し高級感のあるレストランで物価に耐えられるかビビりながらの入店。同じ店の中に日本人らしき人を発見。Japanese?と聞かれて日本語のメニューを渡される。日本人が多く来るみたい。オススメの中にあったシーフードパエリアと水を注文。2日に1回くらいは値段を気にせず食事を楽しんだって良いだろう。しばらくして着丼。ようやくスペインでスペインの料理を楽しめる幸せ。熱いかなと思って注意して口に運ぶと,噛めば噛むほど美味しさが広がる。これがスペインのパエリアか。地中海の魚は少ないらしいけれど,きっと大西洋から来た魚介はいい味がする。水を飲みつつ少し休憩して,4時ごろ出発。サンパウ病院の外観を見に行くことをする。

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本場スペインでパエリアを食す。

 案外近くにあった地下鉄の駅からまた乗り込んで,今度はサグラダファミリア駅を通り過ぎてSao Pau駅まで。少し歩くと病院が見えてくる。これが100年くらい前のヨーロッパスタイルの病院か。入るかどうかかなり迷ったけれど,また医者になってからバルセロナに来ることにして,そのときに訪れてみることにしよう。

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 サグラダファミリアへの憧憬が尽きないから,サンパウ病院からサグラダファミリアまで歩いてみることにする。この道はバルセロナの碁盤の目を綺麗に斜めに横切っている。斜めであることは良いのだが,直角の道との交差点がいちいち面倒。2回横断歩道を渡らなければいけないし。少し詳しくなったサグラダファミリアをじっと見ながら歩いていく。案外サグラダファミリアは近くて,すぐにお別れ。またまた地下鉄に乗って今度はバルセロネータを目指す。

 バルセロネータから海までの距離は思ったよりも遠い。ヨーロッパのリゾート感の強いところを歩いて行って,適当なところで左に曲がる。左に海があるから左に曲がっただけなのだが,そこには僕のイメージしていたヨーロッパの街並みが広がっていた。しかもそんな街の先には海が見える。海を目指して歩くとそこにもまたイメージ通りのヨーロッパの海が広がっていた。海はまだ寒そうだけれど,砂浜で遊ぶのは気持ち良さそう。とはいえ一人だし,何も海で遊ぶ道具は持っていないから撤退。アジア人が一人で入り込むのはちょっと難しそう。東南アジアの海が綺麗なところに行くのが良い。

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 そのままホテルに帰ってしまうのも勿体ないから,近くにあるコロンブスの塔を最後に見ていくことにする。バスにも乗ってみたかったから,バスで行こうとしてみるがなんだかんだ2本もバスを見送る羽目に。バス停の目の前で工事があったから仕方ない。初めは日本の左側通行に慣れていたせいで,反対側のバス停でバスを待って失敗。2本目は工事のせいで通過されてしまい失敗。仕方ないから次のバス停まで歩く。乗り方は全くわからなかったけれど,運転士さんの後ろの機械に切符を突っ込んでなんとか乗車。2両編成のバスに乗るのは初めてのこと。カーブをよく曲がれるなとついつい感心してしまう。いつの間にかバス専用レーンに入っていて,コロンブスの塔をめがけて爆走。目的のバス停でどうにか下車。コロンブスの塔は目の前にあった。コロンブススペイン人説は本当なのかわからないし,指差す方向もアメリカではないらしい。海を指差しているけれど。よくわからないから,写真だけ撮って退散。

 あとはホテルに帰るだけ。近くにスーパーはなかったから,ホテル近くのスーパーに行くことにして別のバスに乗る。昨日歩いたランブラス通りを通るバス。カタルーニャ広場で左に曲がってそのあとすぐ右に曲がってホテルへ。V13とかいうバスだった。下車してスーパーへ。ホテルの周りを散歩するのも面白い。グラシア通り駅からの街とは似て非なる景色が広がっていた。

 スーパーで翌日のTGVの中と夜の主食としてバゲット,スペインのハムを楽しみたいからサラミと生ハム,昨日と同じく巨大なサラダ,あとは甘いものを欲してヨーグルト飲料を購入。スーパーをうまく利用しないとやっていられない。

 部屋に帰ってきて,まずは夜ご飯。写真を整理して,日記を少し書いて,ダラダラして。11時には就寝。