After an escape journey

旅行好きの医学生が徒然なるままに旅行記を公開します

ヨーロッパ周遊の旅(6) Day5 ヴェルサイユ宮殿とルーブル美術館

 6日目,モン・サン・ミシェルに向かうTGVの中で5日目の日記を書くことにしよう。相変わらずTGV窓の外にはヨーロッパのどこまでも続く畑の景色が広がっている。

 今日はまさかのヴェルサイユ宮殿ルーブル美術館に行くことに。ヴェルサイユ宮殿だけでもしんどいのに,全部見るには一週間かかるとまで言われるルーブル美術館まで一日で巡る弾丸ツアーになってしまった。まずはヴェルサイユ宮殿を目指して少々の電車旅に出かける。ホテルでパンを朝ごはんにして,パリ北駅を目指して出発。モン・サン・ミシェル行きの切符を予約しようとうするけれど,日本のみどりの窓口に相当するところは日曜だからか9時からの営業。諦めてモンパルナス駅へ向かうことにする。休みの日に使える地下鉄の1日乗車券を€4.1で購入。地下鉄の4号線に乗ろうとするも工事で乗れず。地下鉄を日中も運休にして工事を進めるのは頭がいいのだか悪いのだか,良いシステムなのか悪いシステムなのかわからない。仕方なくRERのB線でPort Royal駅まで出てそこから徒歩で。ルクセンブルク駅なんてところがあって,パリの駅名のつけ方がどうなっているのか少し気になる。綺麗な公園があるところだとか。Port Royalから飲食店の多いパリの朝を歩いていく。パンの美味しい匂いは飯テロってやつか。日本食の店も多い。

 モンパルナスからヴェルサイユ宮殿への電車に乗ろうとするも,まだ30分くらいこないようなので,ここでモン・サン・ミシェル行きの切符を購入することに。フランス訛りの強い英語で,正直何言っているかわからなかったけれど無事に切符を購入。€43はTGVでの移動距離を考えれば安い。切符を買い終えた頃には950とかで,電車に乗るにはちょうど良い時間。TGVの脇にある一般電車のホームから乗り込む。

 日本でいうと,湘南新宿ライングリーン車のような車両。座席はそこまで良いものではないけれど,それこそベンチみたいな感じだけれど,二階建てで屋根が丸くなっているところがどこか似ていた。遠目には日本の景色とそんなに変わらないパリの郊外を駆け抜けること15分。Versailles Chantiers駅に到着。朝ごはんをろくに食べていないので,ここでも朝ごはんに。駅の売店でクロワッサンを€1で購入。これがめちゃくちゃうまい。パリっとしているとか,あったかいとか,そういうことはないのに生地がしっかりしているからか,原料がいいのかとてもいい味がする。適当に寄った店でこんなに美味しいものに出会えるのがパリのいいところなのかもしれない。ここから徒歩でヴェルサイユ宮殿へ。相変わらずここも路駐が多い街。車のメーカーをいちいち呟きながら進む。ずいぶん長いこと歩くとヴェルサイユ宮殿に続く行幸通りのような通りと交差。黄色い花の咲く並木道の間に道路があって,その奥にヴェルサイユ宮殿がうっすらと見える。金色。豪華絢爛。ヨーロッパは煌びやかな印象があまりなかっただけに衝撃的といえば衝撃的。僕の中で金はどちらかといえばアジアのイメージ。

 荷物の目視での検査を終えて入場。インフォメーションカウンターでチケットの情報を聞いてそのあとの券売機で購入。€20。オーディオガイドを聞いて,いよいよ中へ。適当な入り口,目についた入り口から中に入ったのだが,結果としては正解だったよう。階段を登って一個上のフロアへ。天井の装飾が派手。美術館にあるような絵が天井中に広がっているとでも言えば良いか。そんな景色が永遠と広がっていて,すげーと語彙力のない頭で感じているといつの間にか鏡の多いところへ。パーティーなんかを開くホールだとか。ここは煌びやか。そこを抜けて王の寝室とか食堂とかを見るともうおしまい。一通り絵を見て外へ。庭園に向かおうとするも強風で入れない。€2無駄にしたと思いつつも諦めて帰路へ。

 来たのと同じ道を引き返して駅へ。また同じ売店で今度はサンドイッチを購入。ホームへ少し余裕を持って降りるも,時間にいい加減なパリの列車は目の前で行ってしまう。昼ご飯を食べつつ次の列車を待つ。多分行きと同じスタイルの列車。黒人のキッズと仲良くなって楽しい時間だった。

 モンパルナスについて,ここからルーブル美術館へ向かう。4号線でルーブルの近くまで行ってそこから徒歩。スリの集団に囲まれたけれど,3対3だったからか恐怖はそんなになかった。むしろ楽しいくらい。日本語だけを話して抵抗。大声を出さずとも振り切れた。

 いくつも同じ形,同じ大きさの建物が続く道を歩く。左手にはルーブル美術館。少し雨が降っている。雨の中ルーブル美術館の建物の一つを横切って,あの有名なピラミッドの見えるところへ。ピラミッドがルーブル美術館の入り口。荷物検査をしてチケット売り場へ。並ぶと書いてあったけれど,5分も並ばなかったと思う。

 いよいよ中へ。美術館は上から見るのが好きだからとりあえず一番上の2階へ。プラスマイナス2階と0階があって全部で5層からなる美術館。2階は絵のフロア。最初に見たのはここ2,300年の間に書かれた絵で,写真のようにリアルに書かれた絵も多かった。Vernet Josephの風景画が気に入った。これからルーブルに行く人がいれば,通ぶって進めてみたいような気もする。2階の絵を最初はいちいち眺めて,その度に休憩して回っていたが嫌になるくらい広すぎて到底回ることはできない。半分を過ぎたあたりからペースアップしたものの,最大でも全体の4分の1,おそらくそれよりももっと小さい範囲を回るだけでも2時間を要した。広すぎるし疲れるし,ということでここからはピンポイントに絞って回ることに。有名どころだけどモナリザとミロのヴィーナスは見たい。あとは偶然出会ったサモトラケのニケ民衆を導く自由の女神

 まずモナリザを見に行こうとすると,途中にサモトラケのニケが。顔が欠けてしまって翼を具した彫刻の迫力たるや。少し進むとモナリザの部屋が。一つの部屋にモナリザだけ。人もたくさん集まっているからすぐにそれとわかる。何度も本,テレビ,スマホで目にしてきたモナリザだけれど,本物はこれが本物かーという印象。絵が綺麗というよりは,達成感が大きい。ダヴィンチが書いたというくらいしかモナリザについて詳しいことは何も知らないから,後で調べるとでもしよう。

 ミロのヴィーナスに行こうとする途中で民衆を導く自由の女神に遭遇。教科書で見たことがある気もするけど,定かでない。どうやらすごい絵らしい。カフェで休みたいね,とか行ってカフェに向かっていたら偶然発見。ルーブルのカフェで休憩できたらどれだけ素晴らしいかは想像に容易だけれど,同じことを考える人は多いようで大変な混雑。諦める。

 そのあとにルーブルのお土産屋さんがあったから寄ってみるも欲しいものは見つからない。欲しいものがないのに買う必要はないから,ウィンドウショッピングだけで退散。バッグはいいなと思いつつも,生地が薄くて不安だったり,色が気に入らなかったりして残念。パリの土産はまた別のところで買えばいいや。

 気を取り直してミロのヴィーナスへ。ワンフロア下に降りてしばらく進むとミロのヴィーナスが。これも見慣れたイメージだけれど,実物は思っていたよりも大きいし,迫力がある。人が疎らな時間に来られて良かった。

 最後にイスラムの美術が見たかったからさらにワンフロア降りる。構内図が全く分からなくて,エジプトの美術を見ることに。スフィンクスのコピーだとか,ルーブル城の遺跡だとかそんなものが見られて嬉しいけれどいつまでたってもイスラムの美術室にたどり着かない。諦めて一度入り口から外に出てしまう。入口に戻ると流石にわかりやすい。再入場して,階段を登って左に曲がるとイスラムの美術品の数々。ヨーロッパでイスラム文化に触れるのはちょっと意味がわからないところもあるけれど,この前マレーシアで触れてというもののイスラムがちょっとしたマイブーム。独特の世界観がたまらない。展示室の空気もどことなく違った気がする。ヨーロッパのトーンではあるけれど,石造りではなくてガラス張りで天井は波打ったテントのようなものに覆われている。

 イスラムの食器,武器,絨毯,金属の何かなどなど多様な美術品を見つつ,トリックアート美術館みたいな感じで遊びつつ進む。こういうのを見てしまうとイスラム文化圏に行きたくなってしまうではないか。このころ1730くらい。さて,そろそろルーブルを後にする時がきたようである。

 安くて美味しいレストランが1.5kmほど離れたところにあるとのことなので,徒歩で向かう。途中のおしゃれなスーパーでクロワッサンとヨーグルトを購入。パリっぽい買い物が出来たかと思って少し嬉しいのも事実。ここから少し北に向かうとレストランが。途中にあったからあげやの誘惑にそそられるけれど我慢。

 ハードロックカフェが近くにあることを確認して少し進むとシャルティエが。本日のレストラン。外観から良さげなレストランであることがわかる。手動で動かす回転扉を通って店内へ。店内の雰囲気も良い。席数も多い。フランス語はよく分からないから,何を注文すれば良いか決めかねる。コースでも良いかと思われたけれど,別々に注文。前菜にアボカドとエビのソース。とろけるようなアボカドにエビのソースはマッチする。空腹も相まって美味しい。メインは鴨肉のコンフィ。柔らかさに脱帽。コンフィという調理法を知るに至った。感謝。デザートはアイスクリームと焼きリンゴ。今でも鮮明に焼きリンゴとアイスの合わさった味を思い出せるような気がする。飲み物はビールのKronenbourg。疲れているときの一口目は至福のひととき。クセのない日本のビールに似ていた。

 店をあとにして,近くのハードロックカフェでParisと書かれたTシャツを購入。ここから地下鉄に乗ってエッフェル塔を見に行く。凱旋門の最寄り駅を通ったから,昨日と同じく今日も地上に出てみる。昨日あの惨状を見てしまったからかなりトラウマになっていて,地上に出ることを渋りに渋った。しかしながらそれは杞憂で,昨日破壊されていた店は営業しているし,シャンゼリゼ通り中にばら撒かれたゴミは綺麗に片付けられているし,警察は全然いないし,本来の姿に近い夜の凱旋門を眺められた。1日でこうも変わるのかとひたすら驚く。ただやはりトラウマは消えないから足早に撤退。エッフェル塔を目指して別の地下鉄に乗る。

 地上に出るとすぐにエッフェル塔が見えてくる。夜のエッフェル塔を見ると不思議とパリに来た感じがするものだ。東京タワーに似ている,正確には逆だけれど,プロポーションに東京タワーから赤みを取り去ったような色。周りの高層ビル群も取り去ったらエッフェル塔になるかな。8時丁度の特別なライトアップに見惚れながら写真撮影。残念ながら著作権の関係で夜間に撮った写真をアップロードすると罪に問われる可能性があるとか。

 ブラジル人と写真を撮りあって,セーヌ川を渡ってエッフェル塔のすぐ近くへ。セーヌ川を吹く風の冷たかったことを思い出す。4度と書いてあったけれど,体感温度はそれ以下。日本は春を迎えようとしているだろうけれど,パリはまだ冬が続いている。

 もう一度セーヌ川を渡って今度は王宮からエッフェル塔を眺める。周りに高いビルがないこと,エッフェル塔が孤高の存在であるのがパリをパリたらしめている。パリの夜景を目に焼き付けて最後にルーブル美術館へ。

 昼にやってきたルーブル美術館だけれど,夜のルーブルもまた美しい。夜のピラミッド,そして夜の美術館の建物は目の保養になる。パリの夜を満喫して宿に戻る。東駅から徒歩で宿へ。東駅にも来ることが出来た。